<4/4-4/26>yuka ishikawa 個展「きえない」【Fuligo】

yuka ishikawa 個展「きえない」
2026.4.4– 2026.4.26
切り絵・絵画・粘土等で培ったマルチな表現方法を金属造形に応用し、そこに生ずる様々な作用を独自の発想でジュエリーへと昇華するyuka ishikawa。
そこはかとない哀愁と憂いを帯びた、優しく力強い作風が魅力的な同作家の個展を凡そ6年振りに開催します。
本展では昨今意欲的に参加している欧州コンペティション出展作品も交え、彼女の現在地をこれまでの軌跡を辿りながらご紹介いたします。
yuka ishikawa 個展「きえない」
“きえてしまいそうなものがきえないよう
つくりつづける日々”
会期:4/4(土)-4/26(日)
営業時間:12:00-20:00
店休日:毎週金曜日













シャボン玉の中へは
庭は這入ません
まはりをくるくる廻つてゐます
Dans la bulle de savon
le jardin n’entre pas.
Il glisse
autour.
「シャボン玉 / La Bulle de Savon」は堀口大學訳で広く知られるジャン・コクトーの有名な詩。
本展のタイトルが決まった際にふと浮かんだのがこの詩だった。
シャボン玉の表面に周囲の景色(庭)が映り込み、ふわふわと動いている様子を「庭が中に入ろうとして周りを回っている」と擬人化したこの詩は、 シャボン玉の薄い膜一枚で<内側>と<外側>が決して混じり合わないという繊細な隔たりや、世界の美しさを閉じ込めているようでいて実は拒絶しているという「断絶と境界」をコクトーらしい二つの視点で表している。
一つは「拒絶」の逆説。
シャボン玉には美しく庭が映っているが、実際にはその薄い膜が「庭(現実)」を中に一歩も入れないように拒んでいる、という捉え方。
美しく取り込んでいるように見えて実は徹底的に排除しているという冷ややかな視点だ。
もう一つは「主客」の転倒。
普通なら「シャボン玉が庭の中でふわふわ浮いている」と考えるが、コクトーは「庭のほうがシャボン玉に入りたがって、必死に周りを走り回っている」と主役を逆転させている。
不動の存在であるはずの「庭」が壊れやすい「シャボン玉」に翻弄されているという皮肉めいた視点である。
コクトーは、こうした「当たり前の風景をひっくり返して、世界の真の姿(あるいは残酷さ)をあぶり出す」手法を得意としていた。
コクトーがこの詩で伝えたかったのは「美しさは現実を拒絶することで成り立つ」という冷徹で鋭い真理だと感じる
シャボン玉(芸術や美)は周囲の景色(現実世界)を美しく映し出すが、決してその中身(内側)に現実を入れない。
美しさを形成する・保つ為には現実と混ざり合わない「境界線」が必要だという思想の一端がここからは汲み取れる。
同時に「庭が周りをくるくる回っている」という表現は、絶対的な存在に見える現実世界も、視点(シャボン玉)ひとつで主客が逆転し、翻弄される不安定なものに過ぎないということを示唆している。
すぐに割れてしまう儚い存在が、その一瞬だけは、庭さえも入れない「完璧に閉じた世界」を作り出す。
この一瞬にこそ確かな「美の孤立」が感じ取れるのではないか。
芸術とは消えゆく一瞬を「結晶化」させ、そこにある種の真実を閉じ込める作業なのではないか。
つまり、ただ「綺麗だね」と言っているのではなく「美とは、世界を跳ね返すほどに孤独で強いものだ」というコクトー独自の美学をシャボン玉という身近な道具を借りて表現したのだ。
庭(巨大な現実)がちっぽけなシャボン玉の周りを右往左往するという逆転現象は「優れた芸術(詩)の前では、巨大な現実の方が脇役にすぎない」という純粋な虚構の強さをうたっているのだと思う。
「きえてしまいそうなものがきえないよう、つくりつづける日々」
短い文の中に彼女が込めた表題。
このシャボン玉の様な言葉を前にして、外部の輪郭をなぞる事で内部(自身)の輪郭が浮き出る感覚を思い出した。

コクトーは自身の芸術を「もっとも困難な方法で現実を模倣すること」だとも語っている。
彼女の姿勢であったり振舞いであったり。
大きく言えば生き方そのものが、これらの言葉と重なって見えて仕方がない。
窪田
<Fuligo Event Schedule>
・4/4-4/12:FREijA
・4/4-4/26:yuka ishikawa
・4/18-5/10:Maison de l’abeille
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